すべての住宅の寝室や寝室に通じる階段などへの住宅用火災警報器(住警器)の設置が義務づけられてから10年が経過しようとしている。住警器の交換目安は約10年とされ、設置済みのものの多くがその時期を迎える。年末の大掃除の折、自宅の住警器を確認してみてはいかがだろうか。(吉沢智美)
総務省消防庁によると、平成30年の火災による死者のうち、約7割が住宅火災によるものだった。そのなかでも目立つ原因が「逃げ遅れ」だ。また、29年の住宅火災の死者発生状況を時間帯別にみると、午前8時から同10時までは火災100件当たりの死者数が4・9人なのに対し、午前0時から同2時の間は36・2人に跳ね上がる。就寝中の火災で命を落とすケースが多いとみられる。
近年では住宅火災による死者数は減ってきており、30年には946人。だが、65歳以上の高齢者の死者数は668人と横ばいで、死者数に占める高齢者の割合は約7割となっている。
消防庁では逃げ遅れ防止などの観点から、住宅の寝室と寝室に通じる階段などに住警器の設置を義務化。新築住宅では18年から、既存住宅は市区町村によってばらつきがあるものの、23年までに義務化された。
20年には35・6%だった住警器の設置率は、全住宅に義務づけられた23年には71・1%と急上昇した。令和元年6月1日現在の設置率は82・3%に達した。
住警器設置の効果は数字にも表れている。消防庁の統計によると、平成27~29年の失火を原因とした住宅火災で、住警器が設置されていない住宅では100件当たりの死者数が11・4人だったのに対し、設置している住宅では6・5人と4割減少する結果となった。
住警器は電子部品の寿命や電池切れにより、おおむね10年が交換の目安だ。実際に電池切れしているかどうかは、住警器そのものに備わっているテストボタンなどで確認することができる。
消防庁の担当者は「高齢になると天井への設置交換が困難になる場合があるが、地域で設置交換を請け負う取り組みもあるので活用してもらいたい」と呼びかけている。
消防庁によると、令和2年には約8千万台の住警器が設置から10年を迎える。
「住警器を設置しているだけで安心してしまう人が多いが、常に働いているので10年で部品の摩耗などが生じる」と消防庁担当者は話している。
■消火器などのチェックも
冬になると、暖房器具を使う機会が増え、それに伴って火災の危険性も増す。最近ではさまざまな状況に合わせた消火装置などが販売されている。住警器のチェックに合わせて消火設備を見直してみるのもよい。
住宅での設置が義務づけられている住警器は、煙を検知するタイプ。基本的には寝室と寝室のある階の階段への設置が義務づけられているが、台所への設置も推奨される。
住警器には個別で鳴動する単独型と、複数の住警器が連動する連動型があり、戸建て住宅では連動型が推奨されている。パナソニックによると、2階建て住宅の火災実験で、連動型は火元の住警器が反応すると同時に鳴動するが、1階の火元で単独型住警器が反応していても2階では聞こえないケースもある。実験では2階の単独型が反応したのは、1階の住警器が反応してから約7分後だった。
一方、消火器も住宅で使いやすいように開発されたものがある。軽量で火元を狙いやすく、消火薬剤の詰め替えなどは不要。消火薬剤は粉末タイプと液体タイプがあり、適応する火災が絵で表示されている。
また、スプレータイプの「エアゾール式簡易消火具」というものも。消火器の役割を補助するもので、天ぷら鍋の油の発火や火の不始末によるくずかごの火災などの比較的初期段階の火災には有効とされる。
住宅用消火器も使用期限は約5年。日頃から使うものではないだけに、確認する必要がある。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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