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東京都八王子市で4月、アパートの外階段が崩れ住民の女性(当時58)が転落死した事故で、施工会社の幹部が警視庁に「必要な防腐措置を部下にさせなかった。同様の物件がほかにもある」などと説明していることが、捜査関係者への取材でわかった。階段は一部木造で、法令で「有効な防腐措置」が義務づけられていた。同庁は違法性を認識していたとみて、業務上過失致死の疑いで調べている。
事故が起きたのは、築8年の木造3階建て賃貸アパート。1階と2階をつなぐ外階段の踊り場が崩れ、女性が約2メートル下の地面に落ち、5日後に亡くなった。
外階段は大部分が鉄製で、踊り場は木製だった。建築基準法施行令は、階段には「有効な防腐措置」を施した木製素材に限って使うことができると定めている。捜査関係者によると、アパートの設計図の仕様書にも、踊り場には防腐措置を施すよう記されていた。
ところが、施工した則武地所(相模原市、破産手続き中)の男性会長は警視庁の調べに対し、「事故が起きた踊り場には防腐措置をしていなかった」と証言した。その経緯については、「全体を鉄製にする技術がなかった。コスト削減のため外注させなかった」「責任は自分にある」といった話をしているという。
ほかのフロアの踊り場には防腐措置を施した痕跡があるといい、同庁は専門家による鑑定を踏まえて細かく確認する方針だ。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル