住民いない故郷、元商社マンは通い続ける Uターンは「熱くなって」

 東京電力福島第一原発の事故で全住民の避難が続く福島県双葉町の一部で30日午前0時、避難指示が解除された。最新の調査では帰還を希望する人が1割にとどまるが、町とのつながりを保ちたい人は6割を超える。すぐには帰れなくとも、故郷に足を運び続ける町民たちに迫った。福地慶太郎

思い出色あせず「福島に帰ろう」

 双葉町の中野地区に、家屋の解体や除染中間貯蔵施設のプラント整備など復興作業を担う業者らを下支えする工務店がある。伊藤拓未さん(32)が代表を務める「伊藤物産」だ。

 工務店は、2年半前に避難指示が解除された中野地区で2020年8月オープン。店内には工具や建設資材がずらりと並び、作業員の「熱中症対策」に人気のアイス菓子も取りそろえる。固定客がついてきたが、求める資材がないこともある。「資材の充実は必須。かゆいところまで手が届く店でありたい」と伊藤さん。

 町内の小中高に通い、町の海水浴場で父や友人と過ごした思い出はいまも色あせない。大学卒業後、都内の専門商社で働いていた18年、転機が訪れる。

 父が町で営む会社の創業50…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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