言葉を礎に、多様な芸術領域に大きな足跡を残した詩人の大岡信(まこと)さんをたたえる「大岡信賞」(朝日新聞社・明治大学共催)の贈呈式が7日、東京都千代田区の明治大学で開かれた。第1回となる2019年度の受賞者は、詩人の佐々木幹郎さん(72)とミュージシャンの巻上公一さん(64)。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、贈呈式は関係者のみの、いわゆる「無観客」方式で開かれ、演奏も含めて式のもようは朝日新聞デジタルで中継された。
佐々木さんは昨年、東日本大震災後の社会を透徹した筆致で刻印した詩集「鏡の上を走りながら」を出版。新国立劇場のオペラ「紫苑(しおん)物語」(石川淳原作、西村朗作曲)の台本を担当し、批評活動もするなど、詩が他のジャンルと豊かに連なってゆく新たな芸術の地平を拓(ひら)いてきた。
巻上さんはバンド「ヒカシュー」のリーダー兼ボーカリスト。40年にわたって発表してきた楽曲の歌詞を昨年、詩集「至高の妄想」に結実させた。言葉と音楽のあわいを自在に遊び、それを卓越した歌唱と楽器演奏で表現することで、言葉の力、広がりを伝え続けている。
この日は「脱領域」的な2人の存在感を、それぞれのパフォーマンスで表現した。佐々木さんは、津軽三味線奏者の二代目高橋竹山さんとのコラボレーションで自作を朗読。巻上さんは「ヒカシュー」のメンバーとライブを繰り広げた。選考委員のひとり、作曲家でピアニストの一柳慧さんもソロでピアノを演奏した。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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