新型コロナウイルスの感染拡大で各地の劇場が公演を中止した。兵庫県立芸術文化センター(西宮市)は7月下旬、「どんな時も歌、歌、歌! 佐渡裕のオペラで会いましょう」と題したコンサートで、KOBELCO大ホールでの公演を本格的に再開した。同センター芸術監督の佐渡裕さんに思いを聞いた。
――公演では様々な感染対策を講じたそうですね
3月から何十本という演奏会がなくなりました。当センターは夏に毎年オペラを上演しています。歌は音楽の基本。歌を取り戻したいという思いがすごく強くありました。
感染症の専門家の先生2人に相談して対策を考えました。1階前方の席は使用せず、飛沫(ひまつ)対策として合唱団員は透明のマウスシールドを装着。エアロゾル(空気中の微粒子)対策として団員の一部は小型扇風機を首にかけました。舞台の床から空気が上がる「エアカーテン」も設置しました。
歌の入ったオーケストラができて、お客さんたちが喜んでくださった実感がありました。知らない人たちが集まって、拍手が起こって、自分たちの音楽をたたえてくれる――。オーケストラのメンバーが長い自粛期間、音楽家として渇望していたことでした。
音楽的にいろんな犠牲をはらって演奏会をするのは、すごく辛いことなんです。奏者同士がよく聴き合え、よく感じ合える中で音楽をつくるべきだと思っています。練習でも指揮ばかりを見るのではなく「お互いを聴き合って」と言っています。それが、アクリル板があったり距離があったりする。
それでも、日本でも有数の活動…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル