佐賀の女性殺害事件 元長崎大生、起訴内容認める 「障害特性影響」

 佐賀県鳥栖市の民家で昨年9月、大塚千種さん(当時79)が頭部を鈍器で殴られて殺害された事件で、殺人などの罪に問われている元長崎大生の山口鴻志(こうし)被告(26)の裁判員裁判の初公判が17日、佐賀地裁であった。山口被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 起訴状などによると、山口被告は昨年9月10日午後1時ごろ、鳥栖市内で大塚さんの頭部をハンマーで複数回殴り、外傷性くも膜下出血による脳機能障害で死亡させたとされる。

 また、前日の9日未明、長崎市の自宅アパート近くの民家の玄関脇にあった発泡スチロール製の保冷箱に火を付け、玄関のガラス戸を破損させたほか、同日午後には自宅でベッドや床上の紙片などにライターで火を付けて床面を焦がすなどしたとされる。

 検察側は冒頭陳述で、山口被告は当時在学していた長崎大で単位が足りず、留年が確定的になっていたことなどから「現実から逃れたい」と考えたことが事件につながったと指摘。自宅などに火を付けた後、「何年も刑務所に入るような重い罪を犯せば現実から逃れられると考え殺人を決意した」と述べた。

 冒頭陳述などによると、山口被告は9日に自宅などに火を付けた後、福岡市内で宿泊し、10日にタクシーで鳥栖市へ移動してから、歩いて襲う相手を捜し、除草作業中の大塚さんを殺害した。その後、新鳥栖駅からいったん福岡市内に戻り、11日に家族旅行に行った思い出のある大分へ特急で向かい、13日に大分中央署に自首したという。

 公判で弁護側は、山口被告には、生まれつき相手の気持ちを理解したり想像したりすることが苦手な自閉スペクトラム症の特性があったと説明。「反社会的な現実逃避の手段しか考えられない状態になった。障害特性が事件に強く影響した」と主張し、量刑を判断する際に十分考慮するよう求めた。判決は25日に言い渡される予定。

 山口被告は、沖縄県の高校を卒業し、浪人後に長崎大薬学部に進学した。

 佐賀県警は10日に変死事案として把握したが、司法解剖は土日をはさんだ13日に実施し、14日未明の逮捕に合わせて初めて事件を公表した。(大村久)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment