部活動での体罰が相次いで発覚した兵庫県尼崎市立尼崎高校が22日、同じく部活動での体罰が原因で8年前に生徒が自殺した大阪市立桜宮高校(同市都島区)と連携協定を結んだ。桜宮高校が進めてきた体罰・暴力行為を許さない取り組みを共有し、開かれた学校づくりを目指す。
市立尼崎高では、男子バレーボール部のコーチに顔をたたかれた部員が一時意識を失う体罰が、昨年5月に発覚。硬式野球部でも部長らによる体罰が明るみに出た。両部の指導者や校長ら教職員計6人が懲戒処分(停職や減給)された。
一方、桜宮高では2012年12月、バスケットボール部の主将だった男子生徒(当時17)が顧問(懲戒免職)から体罰を受けて自殺。顧問は暴行と傷害の罪での有罪が確定した。両校とも部活動が盛んで、勝利至上主義など重なる部分が多かったとされる。
桜宮高では自殺問題後、生徒が自主的に考え、教員らが生徒の意見を聞きながら言葉でコミュニケーションを図る「プレーヤーズファースト(選手第一主義)」を進めてきた。市立尼崎高はそうしたノウハウを取り入れ、互いの施設利用や教員・生徒の交流なども通じて刺激し合う方針だ。
今回の協定は、自殺問題後に大阪市教育委員会の顧問に就任して部活動改革に関わり、その後、尼崎市教委顧問となった元全日本女子バレーボール監督の柳本晶一氏の呼びかけで実現した。桜宮高の男子生徒が自ら命を絶ってから今月23日で8年。柳本氏は22日の締結式で風化への懸念を示し、「7年目に尼崎で体罰が起きた。原点に戻り確認するべきだと思った」と話した。(中塚久美子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル