体調が悪くて市役所へ行けなかったのに生活保護を打ち切られ、精神的苦痛を受けたとして、大阪府大東市の50代女性が近く、市に損害賠償を求め、大阪地裁に提訴する。代理人の由良尚文弁護士は「コロナ禍で困窮者は増え、生活保護の重みも増している。安易に保護を打ち切る行政の姿勢を問う」としている。
訴状などによると、女性は2018年9月、高血圧や糖尿病、手のしびれなどが出る頸椎(けいつい)脊柱(せきちゅう)管狭窄(きょうさく)症などで働くのが難しくなり、生活保護を申請。翌月から支給を受けた。ところが、生活状況などを説明するよう求められた19年2月、体調を崩して市役所へ行けなかったのに、「指示に従わなかった」として3月、生活保護を打ち切られた。
女性は再申請し、9日後に再び生活保護を受給できるようになったが、「一時的でも打ち切られたのは不当」と府に審査を請求。府は今年3月、「指示の実現は著しく困難だったとする女性の主張は一定理解でき、直ちに保護を廃止したのは重きに失する」として打ち切り処分を取り消す裁決をした。市は9日分の保護費に相当する約2万3千円を女性に支払った。
女性は保護を打ち切られた期間、病院に薬をもらいに行けないなど不安定な生活を強いられ、憲法25条が保障する生存権や生活保護を受ける権利を侵害されたと主張。慰謝料など5万5千円の支払いを求める。
大東市は取材に「今後、同じようなことがないように適正な保護の実施に努めていきたい」と説明。女性の提訴については「コメントできない」としている。(米田優人)
背景にある、受給者と向き合う余裕の欠如
生活保護は受給者にとって死活…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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