1972年、沖縄が日本に復帰するのを目前に控えたある日、住民が意見をぶつけ合う。復帰を願う女性、文化や言葉を残したい男性、議論そのものを敬遠しようとする若者、考えがまとまらない有識者……。
沖縄が復帰から51年となった5月、那覇で活動する劇団・劇艶(げきしょく)おとな団の代表作「9人の迷える沖縄人(うちなーんちゅ)」の上演が京都市内であった。
テーブルと九つの椅子。復帰前、立場の違う9人が新聞社に集められた。
主婦が聞く。「結局基地はなくならないんですか?」。「大きな基地返還はなさそうですね」と別の女性。若者がつぶやく。「なーんだ、うちなーんちゅは蚊帳の外ってことじゃないか」
ドドド。舞台は暗転し、米軍機の音が鳴り響く。場面が転換すると、一人が言った。
「今回の台本難しくないですか? 知らないと、演じられないこと多いし」
復帰を前に、本土復帰について意見交換する――。そんな芝居を上演するため、稽古をするという二重の設定であることが、ここで明かされる。
現代の沖縄の稽古場は和やか…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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