学校などに通っていない可能性がある外国人の子どもが、文部科学省の全国調査で2万人に迫ることが明らかになった。就学支援に力を入れる自治体もあるが、多くは体制が整わず、支援が後手に回っている。在日外国人の増加が見込まれる中、国の姿勢を問う声があがる。
浜松市のビルの2階。外国にルーツのある子どもを支援するNPO法人ARACE(アラッセ)が運営する「佐鳴台(さなるだい)教室」は、不登校や不就学の子たちの学び場だ。
9月上旬のある日、10人ほどの子どもたちが、スタッフと1対1で英語や国語を勉強していた。
「これから、自分がどうなっちゃうのかなって、不安だった」。日系ブラジル人の男の子(14)はそうつぶやいた。市立中学校に通っていたが、人間関係がうまくいかず不登校に。担任に「休みが多い」と指摘された親は、ブラジル人学校への転学を考え「退学」した。だが、市立校と違って学費がかかる。日本生まれで、ポルトガル語は聞いて分かる程度。結局、家で過ごした。「ゲームに疲れてぼーっとしていると、不安がこみ上げた」
日系ブラジル人が多く住む浜松市には、9月1日現在、約2万5千人の外国人が暮らす。市は「不就学ゼロ」を目標に掲げ、外国籍の児童生徒の就学状況を2カ月に1回の頻度でチェックする。不就学の心配のある子どもがいた場合、言葉がわかる浜松国際交流協会職員が家庭を訪れ、学校への就学を案内したり、市の支援を受けるアラッセの教室に通うことを勧めたりする。この男の子も、家庭訪問を受け、教室に通うようになり、不就学状態から抜け出した。アラッセの金城アイコ代表理事(56)は「休みがちになり、教員から『来ないならやめれば』と言われた子もいる。多くは日本社会で生きていく。子どもの将来について、学びについて、国籍に関係なく、日本社会は考えてほしい」と話す。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル