清流・四万十川で新たな名物になっているハート形の石の秘密が判明した。地元では「恋の石」と呼ばれ、川遊びをする人にも人気だ。河原に逆三角形のように立つ石は大雨で何度も倒れたが、そのたびに元通りに起き上がる。「もののけの仕業か」。この夏、「最後の清流」で持ち上がった新たな謎に挑んだ。
四万十市の河口から川沿いをさかのぼる。JR予土線が走り、愛媛県境が近い同市西土佐半家。地区内の半家沈下橋の河原に、「恋の石」は立つ。
高さ45センチ、幅40センチ。重さは15キロほど。激しい大河の流れに洗われた石は丸みを帯び、夏の太陽の光に輝く。幾つかの石を土台にして、絶妙なバランスを保ち、空中に浮かんでいるように見える。
半家沈下橋は毎年秋に開催される四万十川ウルトラマラソンのコースだ。取材した昨年10月20日に奇妙な石に気づいた。翌11月、今年2月、3月、6月と気になって何度も見に行った。地元の話では、大雨や嵐だとその石はひっくり返るらしい。だが観察しにいくと石は起き上がっていた。方向や位置が微妙に変わっていた。
取材で周辺を訪れるたびに、聞き込みをした。そしてついに8月2日、石を立てている人にたどり着いた。カッパではなかったのだ。「恋の石」の前で記念撮影するラフティンググループを見かけ、声をかけた。すると「タッキーだよ。彼しか出来ないよ」とガイドが教えてくれた。
「タッキー」は、アウトドアツアーなどを企画する「フォレストキャニオン」(愛媛県松野町)でフィールドガイドを務める滝本英敏さん(54)だ。
3年前の夏、滝本さんは半家沈下橋のたもとの青い水の底でハート形の石を見つけた。「これは、かわいいな」。そう思い、石を抱えて河原に運び上げた。「大好きな四万十川のシンボルか、記念碑になるかもしれない」とピーンとひらめいた。
滝本さんは建設会社の施工管理技士として現場監督の経験がある。石工から石の見方や立て方を習ったこともある。「恋の石」は台風や豪雨など川が増水すると何度も倒れた。そのたびに、川にやって来て立て直した。これまでに40回ほど立てたという。
不安定な石を立てる技
猛暑の8月5日、ラフティング…
2種類
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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