昆虫嫌いでも気持ち悪くならないでください。味は保証します――。リアルなカブトムシの幼虫型ゼリーを名古屋市の菓子メーカーが売り出した。大きさや重さは実物とほぼ同じで、幼虫が呼吸をする穴「気門(きもん)」まで再現している。開発担当者の幼少時代からの夢が形になり、見た目も味も渾身(こんしん)の出来栄えだという。
3月上旬に販売された菓子は、自分で簡単に作ることができる「つくってたべよう!幼虫3Dゼリー」。「アルファベットチョコレート」で知られる菓子メーカー「名糖産業」(名古屋市西区)が開発した。
原点は企画担当の長江無我さん(34)が、少年時代に抱いた「昆虫を食べてみたい」という好奇心だった。テレビ番組でかつて、海外の先住民族の人々がおいしそうに虫の幼虫を食べている姿を見て、カブトムシ好きだった長江さんも、「カブトムシの幼虫もおいしいのかな」と考えた。
実際に食べる勇気はなかった。ただ、約1年前、少年時代にかなわなかった20年来の「夢」がよみがえり、たくさんの人に幼虫を食べる疑似体験がしてもらえる商品をつくりたいと社内で提案した。
この提案を受けた食品開発部竹内亮人さん(36)は図鑑で幼虫を隅々まで観察した。リアルさを追求し、立体的な形状や大きさ、重さを再現するため、「ゼリー」に行き着き、1年かけて型をとるトレーのメーカーと試作を繰り返した。
作り方は、付属の幼虫トレーを組み立て、コーラ味とヨーグルトソーダ味の粉末をそれぞれ水で溶き、トレーに流し込む。冷蔵庫で20分以上冷やすとゼリーが固まり、リアルな幼虫ゼリーの完成だ。
幼虫の体に左右9個ずつある気門や、体内の腐葉土が透けて黒く見える内臓を再現する上級編の作り方は、ユーチューブで紹介している。
長江さんは、「虫を食べる文化があることを知ってほしい」と話す。
価格は1個216円。全国のスーパーマーケットなどで販売している。問い合わせは、同社お客様相談係(0120・855・337)へ。(松永佳伸)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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