中川史
使用済み紙おむつを、下水道を使って処理できるのか。その可能性を探る社会実験が、愛知県豊田市で始まった。12月下旬までの実験で報告書をまとめる方針で、可能になれば介護現場などでの負担軽減が期待できるという。
国土交通省は、介護負担の軽減や下水道のさらなる有効活用などをめざし、紙おむつ受け入れに関する検討会を設置。①紙おむつから固形の汚物だけを分離させて、汚物は下水道に、おむつは回収・処理する、②紙おむつをいったん破砕したうえで汚物や汚水を分離し、脱水したおむつを回収する、③破砕したままおむつも下水道に流す、の3タイプを検討している。
豊田市は②の実験に立候補し、全国2カ所の実施都市に選ばれた。
住宅設備大手LIXIL(リクシル)が開発したプロトタイプの処理機(高さ165センチ、幅60センチ、奥行き100センチ)を使用。し尿を吸着したポリマーを破砕し、水と塩化カルシウム溶液を混ぜて攪拌(かくはん)する。化学的に水分を分離させて下水に流し、紙おむつ成分は燃えるごみとして処理する。使用済み紙おむつを、重さで3分の1、容積で6分の1に減量化でき、においも抑制できるという。
実験に協力する特別養護老人ホーム三九(さんきゅう)園(同市本地町9丁目)で、減量効果やにおい、使う水や電力の量を計測し、排水の水質なども調べる。
太田稔彦市長は「介護者の過酷さは国内ばかりでなく世界で過大になっている。実験がうまくいくことを願っている」。市にとっては、ごみ処理施設の維持管理費や、焼却時の環境負荷の低減、二酸化炭素(CO2)の削減効果なども検証する機会になるという。(中川史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル