供え物、立派なタイじゃないけど「神様ほっとけない」震災後初の祭礼

 本殿が全壊した石川県珠洲市の柳田(やなぎだ)神社で25日、能登半島地震後初めての祭礼が開かれた。

 菅原道真の命日に毎年開く菅原神社祭で、参道に作った祭壇に米や野菜などを供え、装束姿の櫻井重伸宮司(59)が太鼓をたたき祝詞(のりと)をあげた。

 普段は一日中にぎわうが、地震後は総代が金沢に避難するなど、氏子らの参列はかなわず、家族だけで静かに行った。お供え物も、普段は魚屋に頼んだ立派なタイが並ぶが、スーパーで買ったアジになった。

 倒壊した鳥居の前にある門松やしめ飾りなど、境内には正月の面影が残る。1876年に建てられた本殿から神様は外壁を破って運び出せたが、祭礼に使う大きな太鼓などは取り出せていない。

 櫻井宮司は「別の場所に避難中の神様を放っておくわけにもいかず、形だけ祭礼を行った。倒壊した建物の撤去は、住宅が優先されると思うので、本殿はしばらくこのままかも知れない。道具を取り出せるのも、まだ先になりそう」と話した。(林敏行)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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