供述書から紡いだ加害者のリアル 「民衆暴力」に凝縮

 「新政反対一揆、秩父事件、日比谷焼き打ち事件、関東大震災時の朝鮮人虐殺……何が人びとを駆り立てたのか」。この夏に出版され、話題の中公新書『民衆暴力』表紙の帯にはそう記されている。

 同書は明治初期から大正にかけて起きた四つの事件を取り上げ、暴力をふるう側の論理と心情に迫った。元外務省主任分析官の作家、佐藤優(まさる)さん(60)は週刊現代に寄せた書評で、この本を手がかりにコロナ禍の「自粛警察」の背景を読み解き「戦前・戦中の翼賛の思想に通底する」と分析した。

 著者の東京女子大学准教授、藤野裕子(ゆうこ)さん(44)が「歴史をとおして、暴力を見つめ、思考を鍛えることが必要だ」と書いたのに呼応するかのように、多くの読み手が、同書を日本の現状に引きつけ、民衆暴力から今日に通じる教訓をくみ取ろうと格闘している。

後世に残すべき貴重な訴訟記録が無造作に捨てられたり、活用から遠ざけられたりしています。その実情を検証し、是正への動きを6回にわたって追います。

 藤野さんが「民衆暴力」を著すにあたって不可欠だったのが訴訟記録、中でも、暴力をふるった人たち自身の供述書や尋問調書だ。

 藤野さんは「訴訟記録からよう…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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