厚生労働省は11日の中央社会保険医療協議会・総会で、薬物依存症に対する集団療法を診療報酬で評価する依存症集団療法(340点)の対象に、ギャンブル依存症を加え、医療機関が「標準的治療プログラム」に沿って治療を行った場合の評価を新設することを、2020年度診療報酬改定の論点に挙げた。ギャンブル依存症に関する同プログラムの有効性が示されたことを踏まえた提案だが、支払側は、医療保険財源が限られている中で、ゲーム障害などにも対象が拡大しかねないなどとして、慎重な検討を求めた。【松村秀士】
「標準的治療プログラム」は、ギャンブル依存症の人に対する米国などの集団認知行動療法プログラムなどを参考にして、日本で作られたギャンブル依存症の集団療法プログラム。医師や看護師、精神保健福祉士、公認心理師らが、ギャンブルなどに対する行動依存の人に対して同プログラムを実施する。
厚労省によると、全国の35医療機関が187人を対象にプログラムの効果を検証したところ、ギャンブルを断ち、その後一度も行っていない状態が継続している人の割合は、プログラム終了後の1カ月、3カ月、6カ月のいずれの時点でも、「介入群」が「対照群」よりも有意に高かった。また、直近1カ月間のギャンブルの平均回数や使用金額は、いずれの時期でも「介入群」が「対照群」に比べて低かった。
厚労省は総会で、これらの有効性や、海外での認知行動療法を用いた集団療法の有効性を示した上で、医療機関が同プログラムに沿ってギャンブル依存症治療を行った場合に評価することを提案した。
これに対して、支払側の宮近清文委員(経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長代理)が、「標準的な治療プログラムを行った場合の効果が示されているが、こうした取り組みを診療報酬上で評価すべきかどうかについては疑問が少なからずある」と難色を示した。
また、幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「限られた財源の中で、ギャンブル依存症が保険適用されると、次はゲーム障害、スマホ障害を保険適用するのか」と指摘。その上で、依存症集団療法の評価対象にギャンブル依存症を加えることについて、「慎重に考えるべきだ」と主張した。
一方で診療側は、「効果的な治療法については評価すべき」などとし、厚労省案に賛同した。
CBnews
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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