侵攻の現実と突然の逆風 「平和が大切」だけで終わらせないために

 会場は気まずい雰囲気に包まれた。

 7月、東京大空襲・戦災資料センター(東京都江東区)であった戦争の講話。空襲で友人を失った体験を語る二瓶治代(86)に質疑応答で、男子大学生が「日本も軍備を広げないといけないのではないか」と問いかけたからだ。ウクライナ侵攻を踏まえ、平和を保つためという理由だった。

 約20年間、証言をしてきた二瓶にとって、講話の場で直接、軍拡の必要性を自分に投げかけられたことはなかった。衝撃だった。

 質疑前、二瓶は東京大空襲で火の海を逃げ惑い、焼け焦げた遺体を踏まないよう歩いた体験を話していた。ウクライナでも子どもが犠牲になっていることを重ねて「戦争が始まる前に止める努力をしてほしい」と呼びかけていた。

 二瓶は男子学生の質問に対し…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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