加藤真太郎
埼玉県越谷市は25日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症対応で忙殺された市保健所職員の時間外労働に関し、春日部労働基準監督署から是正勧告を受けたことを明らかにした。市保健所の女性職員が9月、「ほぼ毎日残業で、際限のない超過勤務が続いている。外部の力も借りて改善につながれば」と同署に通報したことを受けたもので、勧告は19日付。
労働基準法では、労働者の過半数で組織する労働組合もしくは過半数の代表者と書面で協定を結び、管轄の労基署長に届け出た場合、使用者は労働時間の延長や休日労働を命じることができると定めている。
市は時間外労働の上限を月45時間、感染症発生時の緊急対応の場合は休日労働も含め月80時間とする協定を市職員組合と結んでいた。ところが、保健所職員94人(4月1日現在)の加入率が2割にとどまり、同署から「有効な協定がないのに時間外労働をさせた」と指摘を受けたという。過重労働による健康障害防止に向けた改善などについても指導を受けた。
感染拡大が始まった昨年4月以降、コロナ対応にあたる保健師を中心に時間外と休日労働が月80時間を超える職員が続出。感染した市民が2千人を超えた今年8月は上限の80時間を上回る100時間超が10人にのぼった。朝日新聞記者の請求で開示された公文書によると、今年4~8月のいずれも月100時間超の職員が2人、8月だけで274時間、196時間、177時間の職員もいた。
感染症対応の態勢強化を図るため、市は保健所の職員定数を10人増やす方針で、関連の条例改正案を12月市議会に提出する。福田晃市長は「市として重く受け止め、改善に向けて取り組む」などとコメントした。(加藤真太郎)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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