抜井規泰
東京都葛飾区が、私立保育園に誤って補助金を過大に支給していた問題で、青木克徳区長は8月31日、誤支給した約5億1千万円全額の返還を保育園側に求める方針を明らかにした。これまでは返還を求めない考えを表明しており、方針を一転させた。同日の区議会保健福祉委員会で明らかにした。
誤支給したのは人手不足の解消を目的に、パートの保育士を雇った私立の認可園に対する補助金。2018年度~21年度の4年間に、総額5億1181万円余を過大に支給した。誤支給は区内の87園のうち、72園に及び、本来の約2倍を支給した例もあった。計算ソフトの設定ミスが原因で、今年3月に職員が気づいた。
青木区長は当初、全額返還を求める方針だった。しかし直後に、人件費に使われたのなら保育の質の向上に直結しており、区民サービスにつながっていると判断。一転して、返還を求めない方針を明らかにした。
請求する→しない→やっぱり請求する 二転した理由とは
しかし、区の法規担当や外部の弁護士などに見解を求めたところ、誤支給分は保育園の「不当利得」にあたり、区側が返還を求めないことは法的に問題があるとされた。専門家の見解を踏まえ、やはり返還を求めることにしたという。
委員会では、今回の調査の過程で、31園の計94人の勤務実態が確認できなかったことも報告された。議員からは「補助金の不正請求ではないか」との質問も出たが、全員雇用契約が結ばれている上、月の途中で産休に入った、あるいはコロナで勤務が無くなったのに1カ月分が申請されていたなど、全てがミスによる申請と判断。捜査機関への通報などは行わないとした。
一連の責任をとり、青木区長は減給20%(3カ月)。2人の副区長は同10%(3カ月)の給与を減額する条例案を9月議会に提出する。青木区長は「私の判断が間違っていた。大変申し訳ない」と陳謝した。(抜井規泰)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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