「犬と猫は苦手でした。だけど、そこに特に理由はなくて。ただ、なんとなくです…」
かつて動物から距離を置いていた1人の男性は今や、保護された犬や猫とその受け入れを希望する方を繋ぐマッチングサイトや飼い主向けの情報サイトなどを運営する会社の代表だ。
人生、何が起こるかは分からない。
2015年に起業して5年。CEOの大久保泰介さんは、“人と動物が共に暮らせる社会を作りたい”との思いを持ち、「保護犬・猫の殺処分を減らす」という大きな社会課題と向き合う日々を送る。
動物が苦手だった彼がなぜ、“ペットテック”の分野で起業したのか。「人生の転換点」と語るのは、イギリスでの生活と“2匹の犬”との偶然の出会いだった。
【小笠原 遥/ハフポスト日本版】
動物が苦手な自分を変えた、イギリスでの“ある光景”
「別に噛まれたわけでもないのに、物心ついた時からなぜか犬や猫が苦手でした。小学生の頃から大学時代にイギリスに行くまで、その感覚を持っていました」
昔のことをこのように振り返る大久保さん。
関西の大学に通い、就職活動では大手商社や広告代理店の内定を決めていたが、続けていたサッカーへの情熱を捨てられず内定を辞退。渡英してプレーすることを選んだ。
渡った先のロンドンでの日常の風景が、彼の動物への意識を次第に変えることになる。
「ホームステイ先の家庭が猫を飼っていて、少しずつ触れ合うようになったんです。ただ、正直まだ怯えはありました。ですが、ロンドンは公園も広ければ、電車やバスという公共交通機関にもペットの犬が普通に乗ってくる。日本では見たこともなかったその光景を目の当たりにして、『好き』にはまだなれてなかったけど、日本に帰国する頃には“苦手”という状態からは抜けていました」
動物への苦手意識を変えただけでなく、ロンドンでの生活は大久保さんの社会の見方を大きく変え、生きる目標を与えた。
「『いのちの尊重』とか『多様性の社会』という、言葉でしか聞いたことのなかったものを、この時に肌で感じたんです。最近は日本も変わりつつありますが、イギリスでは当時から“多様な家族のあり方”の1つとして、LGBTQの人々やペットとの共存があった。まさにそんな社会を、日本でも作りたいなと思ったんです。以前は、大学を出たらなんとなく“モテる企業”に就職したいとか、そんなことを思っていた時期もあったけど、この時、明確に人生の目標が出来ました」
イギリス滞在中は、サッカーを続けながらロンドンのユニクロで働いた。
日本に帰国した後は、IT事業などを展開するグリー株式会社で勤務。そこでの経験が、大久保さんを起業の道に導いた。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース