加治隼人、佐々木亮、祝迫勝之
倉掛冬生(とうま)ちゃん(5)が送迎バスに閉じ込められて死亡した双葉保育園(福岡県中間市)には、多くの飲み物や花が手向けられている。心を痛めた人たちが現場を訪れ、手を合わせて幼い死を悼んだ。
北九州市八幡西区の歯科技工士の男性(67)は31日朝、保育園の前にペットボトルのジュースを置いて手を合わせた。園の道路を車でよく通るといい、「園との関係はないが、かわいそうで。のどが渇いているだろう。気持ちだけでも、と思いました」。
同じ園に通う男児(6)は30日の夜、バスがとまっていた駐車場を両親と訪れ、花やジュースを供えた。両親によると、男児は冬生ちゃんと仲良しで、家に帰ると決まって冬生くんの話をしていたという。一緒に積み木で遊んだことやけんかしたこと、最近は園の行事で披露するダンスの練習を一緒にがんばっていたという。男児は自分で選んだというチョコレートとアメも置き、「さみしい。(冬生くんと)食べたかった」と話した。
双葉保育園は31日夕、保護者たちへの説明会を開いた。説明会は2時間以上に及び、園の弁護士によると、園長は「申し訳ありませんでした」と謝罪し、もう一人の職員とともに事故の経緯について、泣いている園児に気をとられて後部座席まで確認しなかったことや、家庭への連絡、職員との情報共有を徹底できていなかったなどを説明した。送迎バスは当面使わないという。
参加した保護者の20代女性によると、朝の送迎時に園長1人が運転していたことについて、園側は「朝早く出勤できる職員が限られ、手が回らなかった」と釈明したという。女性は「子どもを預けるのが不安だ」と話した。
保護者の男性は「今回の事故は防げた事故。園の人はなぜ誰も気付かなかったのか」と疑問を示した。
北九州市内ではこの日、冬生ちゃんの通夜が営まれた。(加治隼人、佐々木亮、祝迫勝之)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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