目の不自由な人が安全に道路を渡れるように、信号の色をスマートフォンの音声で伝えられるようにする通信機器がある。警察庁はこれを全国的に整備する方針を決めた。信号機のある交差点など約2千カ所での設置を目標に、来年度当初予算の概算要求では約25億円を計上した。
歩行中の視覚障害者が交通事故に巻き込まれる被害は後を絶たない。2017~19年に亡くなった人は8人、重軽傷者は66人。うち信号機がある道路を横断中の死亡者は2人、重軽傷者は19人だった。
警察庁によると、3月現在、「ピヨピヨ」「カッコー」と音が鳴るなどして視覚障害者を誘導する「音響式信号機」は約2万4千カ所にある。駅や役所、盲学校近くの交差点などに整備されている。ただ近隣住民の「騒音」になるとして、大半の信号機は夜間から早朝は音が鳴らない。その時間帯に起きた死亡事故もあり、課題になっていた。
スマホにアプリ「信GO!」をダウンロードし、通信機器がある信号機に近づくと、近距離無線通信「ブルートゥース」を通じて利用者のスマホに情報が送られ、交差点名や「青」か「赤」かが音声で知らされる。信号が切り替わりそうになったら伝える機能もあり、一部の信号では青時間の延長もできる。
通信機器は1基約130万円。19年度に宮城県や静岡県など約70カ所に整備しており、20年度中には埼玉県や福岡県など約60カ所に設置。さらに21年度には東京や大阪などを中心に設置交差点を大幅に増やしたい考えだ。担当者は「アプリに対応する信号機が増えれば、利用者も増える。全国に普及させ、障害者らが安全に道路を横断できるようにしたい」としている。(田内康介)
2年前の事故、導入のきっかけ
スマートフォンの音声で青や赤…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル