「上げ鷹(たか)」と呼ばれる日本古来の手法でハヤブサを操る唯一の鷹匠(たかじょう)がいる。織田信長の時代に始まったとされる「吉田流」を継承し、40年以上にわたってタカ狩りの伝統を守ってきた。鵜匠(うしょう)、刀匠(とうしょう)と並ぶ伝統技法として地元で次世代につなげていくため、支援の輪も広がっている。
岐阜市領下の伏屋典昭さん(67)。自宅の小屋でハヤブサとハリスホークの2羽を飼育する。毎日、近くの河川敷や畑で訓練を重ね、餌やりや水浴びをさせる。
伏屋さんが「麾(ざい)」と呼ばれる先端に紙を付けたさおを大きく振ると、ハヤブサは獲物と間違えて上空から急降下するが、その攻撃を一瞬早くかわす。その動きを何度も繰り返し、ハヤブサを操るのが吉田流の「上げ鷹」だ。
小学1年の時、父親から科学雑誌をプレゼントされた。タカと鷹匠の記事が載っていて、「いつか自分も操ってみたい」とあこがれを募らせた。
25歳の時、夢の扉が開いた。名古屋の東山動植物園に出入りしていた動物商と知り合い、2羽のタカを購入した。自動車の板金塗装の仕事をしながら、吉田流の鷹匠をしていた故丹羽有得さん=愛知県春日井市=に師事し、技術を磨いた。
後継者の育成が課題となっている鷹匠。伏屋さんは、その魅力について、「翼を羽ばたかせる筋力と持久力を養い、ハヤブサとの信頼関係を築くのが腕の見せどころ」と話します。
タカ狩りは1600年の歴史があるとされ、鷹匠は天皇や将軍、大名に仕えた。狩りではオオタカやハイタカが主流。オオタカは木が密集している場所でも狩りができ、山が多い日本では重宝されたという。
一方、ハヤブサは鳥類最速の…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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