新型コロナウイルスのオミクロン株によって休校や学級閉鎖が相次ぎ、学校生活が強い制限を受けている。政府が全国の学校に一斉休校を要請して27日で2年。行事の中止も重なるなか、子どもたちは長い間学業や体験の機会を奪われ続けてきた。専門家は心のケアの必要性を訴える。(阿部朋美、高浜行人)
水戸市立寿小学校では21日、約600人の児童たちが久しぶりに登校した。「背伸びたな!」「会いたかったよー」。校内の廊下で友達と再会した児童のうれしそうな声がマスク越しに響いた。茨城県にまん延防止等重点措置が適用され、1月31日から休校が続いていた。
3週間ぶりの登校 「またいつ休むかわからない」
「またいつ学校が休むかわからないから、このプリントは持ち歩いてね」
4年生のクラスの授業では担任教員が、オンライン授業でも活用できるプリントを配った。音楽ではリコーダーが使えず、大型モニターに楽器を映し、音が鳴る仕組みを学んだ。
給食の時間になると、当番の児童の体調を担任がチェック。熱はないか、せきは出ていないかを聞き取ってから、配膳が始まる。児童同士が接触しないよう一方通行に進んで給食を自席に運ぶ。飛沫(ひまつ)が飛ばないよう、会話は控える。全員が座った後、同じ方向を向いて「黙食」した。おかわりは、担任が各席をまわりながら児童の食器によそっていった。
校内も感染対策がとられている。教室の廊下側と外に面した窓は常時開け放たれている。休校中、水道の栓は手でひねらずにひじなどで押せば出るものに取り換えられていた。
この2年、児童はたびたび休校や分散登校を迫られ、窮屈な思いをしてきた。6年生の男児は悔しそうに語った。「いっぱい我慢も寂しい思いもしてる。もっと友達に会いたい」。霜田豊校長は「2年間は制約との戦いだった。子どもの健康と学びをどう守るかを考え続けた」と振り返る。行事も縮小された。運動会は競技を絞り、午前中だけ。楽しみにしていた遠足は、目的地が東京から県内の国営ひたち海浜公園に変更になった。バスの車内は窓際の列に1人ずつ座り、歌や会話は禁止になった。
寂しい思い重ね 「もっと友達に会いたい」
休校や分散登校による学校生活の断絶は、2年前の2月27日に当時の安倍晋三首相が一斉休校を要請して以降、各地で繰り返されてきた。今年に入って感染が急拡大し、全国的に相次ぐ。文部科学省によると今年2月9日時点で全国の幼稚園、小中高校、特別支援学校計717校(2・0%)が休校。うち茨城県が339校で最も多かった。
学校に集まれないことで友人との関係を育む機会が限られ、親と過ごす時間が増えて虐待の件数が増えるなど様々な弊害が出たとされる。20年度の小中学校の不登校は19万6127人で過去最多に。文科省の担当者は背景について「(一斉休校で)生活リズムが乱れやすかった」と説明した。
部活の全国大会不参加に大泣き
学校行事の中止も、子どもの心に影を落とす。
記事の後半では、部活の大会に加えて修学旅行が中止になって嘆く高校生の姿や、コロナ禍が子どもの心に悪影響を与えているという調査結果を紹介しています。専門家は子どもの心のケアの仕方に言及しています。
「楽しみが何もない!」
兵庫県の私立高校に通う2年生の女子生徒(17)は今月、自宅に帰るなりそう叫んでかばんをたたきつけた。楽しみだった北海道への修学旅行が中止になり、不満が爆発した。1月に出場が決まっていた部活動の全国大会も不参加になり、大泣きしたばかり。母親(54)は「感染防止のためとは理解しているが、本当につらそうでやるせない」と話す。
一斉休校で中学の卒業式と高…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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