新型コロナウイルスの対策のうち、3月13日からはマスク着用が「個人の判断」となる。ただ、実際には店や施設の判断が優先される場面が想定され、混乱する可能性もある。マスクを着けたい人、外したい人の間で分断を深めないためにどうすればいいのか。(市野塊 神宮司実玲 熊井洋美 枝松佑樹)
5月8日の5類移行に先立ち、政府はマスク緩和について見直す方向で検討を進めてきた。まず照準を合わせたのが3月に迫った学校の卒業式。与野党からの要望も強く、厚生労働省は専門家に議論を急がせ、今月8日の専門家会合で、外すことを容認する見解が示された。
見解をまとめた一人の京都大の西浦博教授は、日頃からマスクをせず他の感染対策もしないことと、卒業式がある1日だけ他の感染対策をしながら外すことは「相当に違うもの」と前向きに評価した。
一方で、社会全体に向けた「個人の判断」にゆだねる着用ルールの開始は、卒業式より遅い3月13日となった。その理由について、厚労省幹部は「個人判断を始めるには、同時に業種別のガイドラインの改訂も必要だから」と説明する。
飲食店、公共交通機関、娯楽施設、医療・介護施設など各業界の団体は、感染対策について約200種類のガイドラインを作り、現場で適用してきた。マスク着用をめぐっては利用客との間でトラブルにもなりかねず、「マスクを着けてほしい飲食店は、外した客から『個人判断だから』と言われたときガイドラインがないと対応できない」(同幹部)といった事情もあった。各業界は政府の緩和方針を受け、今後、ガイドラインの改訂を進める。
ただ、改訂には難しさが伴う…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル