偏差値38。小5の長男の成績表を持つ手に力がこもる。すぐにでも成績表を破りたい気持ちだった。
もう2年も塾に通わせているのに、偏差値は一向に上がらない。
こんな偏差値を見続けるのはストレス。中学受験をやめると決めて、翌日に塾に退会届を出した。
「これで、長男は負け組だ」。6年前、40代の女性は本気でそう思っていた。
かさむ塾代、上がらない偏差値……常に悩みが伴う中学受験。続るのか、やめるのか。どの選択肢も親として勇気がいります。6年前に長男の中学受験をやめた女性に、当時の思いなどを聞きました。
周囲に富裕層が多い東京都港区在住。大手企業に勤める女性が就職活動をした2000年は就職氷河期で、学歴で苦労する学生を間近に見てきた。
いい企業に入り、いい収入を得るために、何よりも大事なのは学歴。3歳から英語、水泳、書道、体操教室などの習い事に通わせた。長男が生まれたときから「最高の教育」をしてきたつもりだった。
小学校も私立を考えたが、女性の仕事が忙しく受験に備えることができなかった。中学受験に狙いを定め、都内でも「名門」と人気の公立小に通わせた。
小3になると、塾の情報収集に奔走した。特徴を分析し、難関中学の受験に特化した進学塾に入れた。
「これで一安心」と思ったの…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル