原口晋也
長崎県漁業公社が、警備大手セコム(本社・東京)に対し、災害時の同社警備員の不手際によって養殖の稚魚が死滅したとして、764万円の損害賠償を求める訴えを長崎地裁佐世保支部に起こしたことがわかった。
提訴は5月21日付。訴状によると、2020年9月2日夜、佐世保市の矢岳事業所で台風による停電が起きた。セコムの警備員は自宅にいた所長に電話で「停電で異常警報が出ているのでリセットする」と伝えた。
所長は、警備員が事業所に駆けつけたと思っていたが、実際は出動していなかった。その後の連絡もなかったため、停電も復旧したと誤信した。だが停電は続き、4時間しかもたない非常用電源の燃料も補充できなかった。3日朝に出勤すると、ヒラメなど養殖の稚魚10万5千匹が酸欠で死滅していたという。
公社側は「警備員が現場に駆けつけて停電が続いていることを所長に伝えていれば、所長は非常用電源の燃料補充などの対応ができた」と主張。ヒラメの死滅分の損害を求めている。これに対し、セコムは「係争中なのでコメントは差し控えたい」としている。(原口晋也)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル