野菜、果物などの栽培に使われる農薬クロルピクリンは、土壌に注入されてからガス化して広がる性質があり、健康被害が後を絶たない。国は土壌をフィルムなどで覆って広がるのを防ぐよう農家に求めているが、必ずしも守られていない実態が農林水産省による初の全国調査で明らかになった。
1948年に農薬登録されたクロルピクリンは、作付け前に病原菌や害虫などを駆除するために土壌に注入するくん蒸剤として使用され、混合剤も含めた出荷量は毎年度8千トン前後で推移。頭痛やめまいを引き起こし、吸入した場合、呼吸困難や肺水腫で死亡することもある。
欧州では全廃され、米国では人がいる場所と使用農地の間に一定の緩衝地帯を設けることが義務づけられている。農水省の農薬事故実態調査によると、クロルピクリンが原因の農薬事故は2009~19年度に51件発生し、192人以上が健康被害を受けている。
そのため農水省は20年3月、クロルピクリンを使用している産地の作物や周辺環境、使用後の被覆の実施状況などを都道府県を通じて調べた。
その結果、クロルピクリンを使…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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