働く場がないならつくればいい 人口2千人の小さな町が挑む移住施策

 移住者を受け入れたいが、フルタイムで働ける職場がない。そんな小さな町で新たな試みが始まった。

 キーワードは移住者を町全体で受け入れる「マルチワーク」(複業)だ。

 サーファーに人気の高知県東洋町。真っ白なビーチに近い民宿で、宿泊客が出かけた部屋を中川じゅんさん(43)が掃除して回っていた。

 青森県出身。昨年7月、高知へ単身で移住した。「コロナ禍で人生をやり直したいと考えていたとき、東洋町の海の写真を見て心が動いた」

 しかし、人口2千人ほどの小さな町に就職できる企業はない。

 夏は海上アスレチックの監視員、秋は備長炭の窯出し作業に従事した。冬から春にかけては特産のかんきつを栽培する農家の元にも通った。

 そして観光シーズンを控え、4月から中川さんの働き先は民宿に変わった。民宿で働くのは夏が終わるまで。

 季節労働を繰り返し、収入が安定しないアルバイト――。ではなく、実は正社員として勤務する、れっきとした会社員だ。

 雇っているのは、町内に拠点…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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