黒田早織
兵庫県警機動隊員だった木戸大地さん(当時24)が自殺したのは先輩らのパワハラが原因だとして、遺族が県に約8千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審が13日、大阪高裁であり、先輩の元上司に対する証人尋問を経て結審した。元上司は、大地さんへの指導は「適正な指導の範囲でパワハラではない」と述べた。
訴状によると、大地さんは2009年に県警に就職。12年に機動隊へ配属後、先輩に「ミス一覧表」の作成を命じられたり書類に「ボケ木戸」と書いたふせんを貼られたりしたとされ、15年に寮で自殺した。
昨年6月に神戸地裁であった一審判決は、こうした行為を違法なパワハラと認めた一方、自死との因果関係や組織としての安全配慮義務違反は認められないとした。
遺族側は控訴し「パワハラが本人を死に追い詰めたのは明らか」「上司がパワハラを放置しなければ防げた」などと主張。高裁は争点を安全配慮義務違反に絞って審理している。
この日、第2回口頭弁論で証人尋問があり、パワハラをしたとされる先輩の元上司にあたる、機動隊装備係の装備主任(当時)が出廷。元上司は、先輩がふせんを貼ったことやミス一覧表を作成させたことについて「知らなかった」「覚えていない」と述べた。
一方で、ミスに対する先輩の叱責(しっせき)は「適正な指導の範囲」で、パワハラではないとした。「同じミスをくり返す者に対しては厳しい指導が必要」とも述べた。
公判後、大地さんの父・一仁さんは会見で「肝心なところは全て『覚えてません』ばかり。県警は非を認めてほしい」と話した。(黒田早織)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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