相模原市の墓地で2015年に女性の遺体が見つかった事件で、殺人罪に問われた元交際相手の佐藤一麿(かずまろ)被告(38)に対する差し戻し後の裁判員裁判の判決が27日、東京地裁であった。野村賢裁判長は、被告に求刑通り懲役17年を言い渡した。
弁護側は「被害者が自ら大量に睡眠薬を摂取して死亡した可能性がある」と訴えたが、判決は殺人罪の成立を認めた。
起訴状によると、佐藤被告は13年6月10日ごろ、東京都新宿区にある交際相手の女性(当時25)のマンションの一室で、女性に睡眠改善薬を飲ませたうえ、首を圧迫し、薬による中毒か頸部(けいぶ)圧迫による窒息で殺害したとされる。
高裁、「中毒死の可能性」指摘して差し戻し
遺体は15年6月、相模原市の墓地の敷地内に埋められた状態で見つかった。被告は、女性の遺体を遺棄したことは認めて有罪判決を受けたが、殺人については一貫して無罪を主張している。
検察側は当初、死因を「頸部圧迫による窒息死」として起訴。19年の東京地裁判決は、窒息による殺人罪の成立を認め、被告を懲役17年とした。
だが東京高裁は20年の判決で、「死因を窒息死と認める証拠は不十分で、睡眠改善薬による中毒死の可能性が否定できない」と指摘。被告が殺害目的で薬を摂取させた疑いがあるとはしつつ、女性が薬を使って自殺しようとした可能性についても審理を尽くす必要があるとして、地裁に審理を差し戻した。
その後、検察側は、起訴状の死因を「頸部圧迫による窒息死か睡眠改善薬による中毒死」に変更。女性が自殺するような事情はなく、仮に薬による中毒死だったとしても「被告が殺意を持って服用させた」と主張していた。(田中恭太)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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