元捜査員「後味悪い」、遺族「終わってない」 桐島聡名乗る男死亡

 「内田洋」という男が偽名だと明かしてから4日。連続企業爆破事件の桐島聡容疑者(70)を名乗る男が29日、死亡した。1970年代に日本社会を震撼(しんかん)させた事件から半世紀。「最期は本名で」と突然告白した男は、公開の場で語らないまま去ることになった。

 連続企業爆破事件の捜査に携わった元警視庁捜査員の男性は、桐島聡容疑者(70)と名乗る男の死亡について「たいへん残念だ」と語った。

 男性は当時、東アジア反日武装戦線のアジトやメンバーの居住先の捜索や行動確認などの捜査にあたった。警視庁公安部が75年5月にメンバー8人を一斉逮捕した時点で、「他に2人いる」とみていた。それが桐島容疑者ら「さそり」のメンバーで、うち1人はその後逮捕された。

 男が事情聴取を受けたとの一報を耳にし、関与が疑われるメンバーのうち桐島容疑者だけが一度も逮捕されていないことから「最後の者に手が届き、当時の事件のことがある程度分かっていくだろうと期待した」と言う。それだけに死亡については「後味が悪い」と話す。

「逃亡容疑者の逮捕を」被害者遺族

 事件では、大道寺あや子(75)、佐々木規夫(75)の両容疑者が「超法規的措置」により国外に逃亡したままだ。男性は「警視庁は(桐島容疑者が)事件後に2人と接触していた可能性も含め足取りの捜査を徹底し、事件の全容解明に努めてほしい」と話した。

 連続企業爆破事件の一つ、三菱重工ビル爆破で犠牲となった同社社員石橋光明(てるあき)さん(当時51)の長男、明人さん(63)も更なる捜査を求める。三菱重工の事件では「東アジア反日武装戦線」の大道寺あや子、佐々木の2容疑者が逃亡を続けていることを挙げ、「遺族からすると事件は終わっていないし、何も変わっていない。私の年が進んだだけだ。2人の逮捕を望むのに尽きる」と話す。

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 男の死について石橋さんは「…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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