憲法53条に基づく野党からの臨時国会召集要求を98日間先送りした2017年当時の安倍内閣の対応の合憲性が争われている裁判で、「明白に違憲」とする元最高裁判事の浜田邦夫弁護士の意見書が裁判所に提出されたことがわかった。一方、臨時国会を召集していない菅内閣の対応にも、浜田氏は「明らかに53条に違反している」と語った。
浜田氏は2001年5月~06年5月、最高裁判事(弁護士出身)を務めた。意見書は原告側弁護団の依頼で作成され、東京など3高裁に出された。
憲法53条は後段で、衆参いずれかの議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は召集を決定しなければならないと定める。この53条後段の趣旨について意見書は、「少数派国会議員からの国会開催要求を認めるもので、臨時会では実質的な審議が行われなければならない」と指摘した。
53条は召集までの期間は定めておらず、政府は「合理的期間を超えない期間内」に召集すべきだとしている。合理的期間について浜田氏は、内閣に政治的判断に基づく裁量はないと説明。「原則30日以内で、天変地異など臨時会を開催するのが困難な社会情勢でも最長で45日以内には召集され国会が開催されなければならない」と主張し、98日間先送りした対応を「明白に違憲」と指摘した。
浜田氏はどんな論理展開から「違憲」と結論づけるのでしょうか。記事後半に浜田氏の意見書の要旨も含めて、詳述します。
意見書を書いた理由について…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル