元秘書室長の証言崩せるか ゴーン事件裁判で弁護側尋問

 日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告(66)が巨額の役員報酬を開示しなかったとされる事件で、共犯に問われた元代表取締役グレッグ・ケリー被告(64)の公判はこれまでに計13回開かれた。最大のキーパーソンとされる大沼敏明・元秘書室長(61)に対する検察側の証人尋問が終了し、10日からは弁護側の反対尋問に移る。司法取引した大沼氏は検察の主張に沿った証言を続けており、弁護側の尋問は信用性を突き崩すのが狙いになる。

 ケリー元役員は、2010~17年度の計約170億円の元会長の報酬のうち約91億円は退任後に払う「未払い報酬」とし、各年度の有価証券報告書に記載しなかったとして金融商品取引法違反の罪で起訴された。

 争点は①ケリー元役員と元会長、大沼氏の間で共謀があったか②未払い報酬が存在したかだ。司法取引で捜査に協力した大沼氏は11回の公判で、役員報酬の個別開示制度が導入された10年以降、18年の逮捕直前までの検討過程を証言した。退任後に支払うことにした未払い報酬があることを前提に、ケリー元役員もその仕組みを認識していた、などとする内容だ。

 一方、無罪主張の弁護側は、大沼氏は捜査時と違う証言をすれば起訴される恐れを抱えて証言すると指摘し、「信用性を慎重に吟味すべきだ」と強調。10日からの反対尋問で徹底追及する構えだ。

 焦点の一つは、「合意文書」に対する認識だ。元会長の報酬の一部を退任後に払うことを明記した重要文書だと検察側は位置づけるが、弁護側は「ケリー元役員は関わっていない」と反論する。文書に署名したのは元会長と大沼氏で、ケリー元役員の関与を示すのは主に大沼氏の証言だ。大沼氏は「(相談内容の)詳細は覚えていない」とも述べており、弁護側はあいまいさをただすとみられる。退任後の処遇の検討は、未払い報酬の補塡(ほてん)ではなく、「退任後に提供される業務の対価」という観点で追及する方針だ。

 これまでの大沼氏の証言による…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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