自民党の河井克行前法相(衆院広島3区)の妻案里氏(参院広島)が初当選した昨年7月の参院選広島選挙区を巡る公選法違反事件で、広島県大竹市の入山欣郎市長は31日、参院選前に克行氏が現金が入ったとみられる封筒を自宅に持って来たと明らかにした。叱責(しっせき)してその場で突き返したという。広島地検の任意聴取でも同様の説明をしたとしている。
地検は、河井夫妻側が票の取りまとめを依頼する趣旨で、選挙区である広島県内の地方議員らに現金を渡した疑いがあるとの見方を強め、一斉聴取に乗り出している。県内の首長についても同様の構図があるとみて捜査しているもようだ。
入山市長によると、案里氏が昨年3月13日に参院選の自民党の公認候補に決まった後、克行氏が市長宅へあいさつに訪れ、封筒を差し出した。市長は「ばかにするな」「こんなことで応援するのではない」と叱り、克行氏は封筒を持ち帰ったという。中身が現金かどうかは確認しておらず、趣旨も「分からない」とする。
入山市長は30日の中国新聞の取材に地検の聴取を受けたことを認める一方、金銭の授受については「ノーコメント」としていた。中国新聞が任意聴取を報道した31日、市役所で記者会見し「金銭は一切受け取っていない」と説明。その場でも具体的な聴取内容は説明しなかったが、その後の中国新聞の取材に克行氏とのやりとりを明かした。
この日は、同じく地検の聴取を受けたことが明らかになった三原市の天満祥典市長も市役所で記者会見した。これまでの中国新聞の取材に、自身の後援会が河井陣営から現金を受け取ったとしていたが、この日は「後援会も恐らく受け取っていないと思う」などと説明を変え、「現金の授受はない」と強調した。
また福山市の枝広直幹市長はこの日、報道陣に「(地検から)任意の事情聴取を求められたことも、案里氏側から金銭の提供を受けたこともない」と述べた。30日の取材では「答えるのは控えたい」としていたが、「報道を見るうち、もう少しはっきり申し上げた方が誤解を招かないと思い直した」と説明した。
中国新聞社
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