7月中旬、さいたま市のオフィス。20歳ぐらいの若者たちが車座になり、わいわいと話していた。
「相談先の都道府県は、複数選択にできたほうがいいよね」
「『女性の悩み』という分類じゃなくて、性別に関係なく相談できるようにしたい」
意見は尽きず、予定の時間を過ぎても話し足りなそうだった。
集まっていたのは、児童養護施設などで育った10人ほどだ。オンラインで、九州や北海道にいる仲間ともつないだ。
話していたのは、施設出身の人たちを支援する一般社団法人コンパスナビが運営するサイト「なびんち」(https://navinchi.jp/
虐待などを理由に親元を離れ、施設や自立援助ホーム、里親家庭などの「社会的養護」下で育った若者たちが、1人で生活を始めたり、社会に出て働き始めたりする中で、困ったときの相談先を検索できる。
都道府県を選び、「家賃が払えない」「居場所がほしい」「こころの不調・障害」などの項目から、該当する悩みを選ぶと、地域のNPOなどの情報が出てくる。
サイトに載せる各地の機関を探したり、現地に赴いてスタッフの声を聞き取って載せたりしたのも、冒頭の若者たちだ。
自分たちと同じように施設などを巣立った若者が、孤独を感じずに「頼れる先」につながってほしい――。そんな願いを込めて活動している。
サイトは昨年立ち上げたばかり。まだ十分に周知されておらず、利用者がサイト内で目的の情報を探しづらいといった声もあった。よりよいサイトにするために、今年6月から話し合いを始めた。
生きづらさがあった、でも仲間に会えたから
自身の生い立ちから学んだ経験でラップをつくり発信している加藤建城(たてき)さん(21)もその1人だ。
横浜市の児童養護施設で育った。施設を退所し、高校を卒業したが、一人暮らしをしながら働き始めた昨年、慣れないプログラミングの仕事や、職場環境のストレスで体調を崩し、仕事をやめた。
施設は好きだったが、いざ離…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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