現場へ! 社会的養護のいま③
「虐待を受けていた子は大声で叱られると、親からの虐待を想起して同じことをされているとおびえてしまいます」
2月上旬の週末、児童養護施設「聖家族の家」(大阪市)の関係施設の職員向け研修会がオンラインで開かれた。講師を務めたのは、国立特別支援教育総合研究所の名誉所員、後上(ごかみ)鐵夫(てつお)さん(75)。30年以上、児童養護施設や乳児院を定期的に訪れ、子どもの発達や子どもへの接し方について伝えてきた。
施設で暮らす子どもの中には虐待を受けていた子が多く、愛着障害の傾向にある子もいる。愛着障害とは、特定の養育者との間に情緒的な絆が育まれなかったことにより、感情の抑制や人間関係の構築ができなくなったりすることだ。
この日、愛着障害の子どもには、まず愛情を注ぎ、次に社会ルールを教えるという順序性が重要と伝えた。「愛情を注ぐとは、抱きしめる、褒める。それを十分にするということです」。子どもはこのような経験を積み重ねることで愛されていると感じ、安心感ができることで様々なことへの意欲が芽生えていく。
だが、集団生活の中では、自分のことは自分ですることが求められる。しっかりした子ほど「手がかからない子」として大人の目が向きにくくなりがちだ。
思うように習い事やアルバイ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル