厚生労働省は3日、「がんに関する全ゲノム解析等の推進に関する部会」で、これまでの議論の経緯を報告した。全ゲノム解析を進めるため、5年生存率が著しく低かったり、臨床的に難治性と位置付けられたりするがんの種類を重点的に検体収集する必要があると指摘。解析プロジェクトでは、まず国内のバイオバンクに保存されている既存検体を活用して「先行解析」を実施し、その後、その結果などを踏まえて「本格解析」を行うとの方針を示している。【松村秀士】
がんに関する全ゲノム解析については、2019年6月に閣議決定された「骨太方針2019」で、「これまでの取組と課題を整理した上で、数値目標や人材育成・体制整備を含めた具体的な実行計画を、2019年中を目途に策定する」と明記されている。
この実行計画の策定に向け、19年10月に同部会の初会合が開催され、これまで2回議論が交わされた。3日の第3回の部会で厚労省が報告した議論の経緯では、全ゲノム解析の対象として、▽罹患数の多いがん種や、すい臓がんなど難治性のがん▽希少がん(小児がんを含む)▽遺伝性腫瘍(同)-を挙げた。
このうち、罹患数の多いがん種や難治性のがんについて、特に5年生存率が著しかったり、臨床的に難治性と考えられたりするがんでは、ゲノム解析が新たな治療や診断の研究・開発につながることから、「重視して検体を収集すべき」だとしている。
希少がんに関しては、生物学的な特徴や研究の実績、検体収集の可能性や実行性などが課題で、国内では症例数や研究者が限られていることから、国際共同研究を含めて多施設での共同研究を実施していく必要性も検討するとしている。
先行解析では、全ゲノム解析の全体方針を固めるため、がん種別の研究グループを設置し、国内バイオバンクなどの検体の解析や全ゲノム解析と他の手法との比較、検体採取体制などの検討を進めることが望ましいと強調。
その後の本格解析では、先行解析の状況や国内外の研究動向を踏まえ、それまでの解析に含まれないがん種や、含まれていても不足しているがん種、実臨床に応用可能な分野のがん種などを中心に「目的を明確にして新規検体を収集する」としている。
この「議論の経過」は、5日に開催される「がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議」に報告される予定だ。
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