東京都世田谷区に、全国の注目を集める公立中学校がある。区立桜丘中。生徒の髪形や服装は自由で、携帯電話やタブレット端末の持ち込みもできる。遅刻しても、教室から抜け出しても声を荒らげる教師はいない。「学校の常識」に挑む現場を訪ねた。
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都心から離れ、古い商店も残る住宅地の一画。桜丘中の校舎に入ると、職員室前の廊下の不思議な光景がまず目につく。
窓際に机と椅子が並んでいる。そこで、生徒たちがパソコンを使って調べものをしたり、スマートフォンで動画を見たり。ゆったりと体を預けられるハンモックや、企業から提供を受けた3Dプリンター、人型ロボット「ペッパー」もある。午前11時。多くの生徒が教室で机に向かう中、ここではもう一つの授業が繰り広げられていた。
「教室にいるのが嫌だったり、入りづらかったりする子の居場所。生徒の判断で自習してもらい、職員室にいる誰かが目配りしている」。西郷孝彦校長(64)が説明した。
パソコンでプログラミングのソフトを操作していた男子生徒は「行けそうな授業の時は教室に戻るようにしている」。女子生徒は「居心地はいいけど、成績が下がったし、ずっとここにいちゃだめだよね」と隣の友人に語り掛けた。
生徒数約530人。「廊下学習」を続けて都立トップや有名私大の付属高校に進学した子もいる。「最近は将来を見据えて実用的な高校を選ぶ子もいて新鮮な驚きです」と西郷校長。目標としているのは、どんな子も個性を生かして楽しく中学生活を送る環境づくりだ。
「本当に必要かどうかを考えた結果、校則がなくなった」
改革は、西郷校長が着任した2010年に始まった。桜丘中はかつて生徒同士や教師への暴力が絶えない荒れた学校だった。「朝礼も授業中も怒鳴り声が響き、あれもだめこれもだめ。力で押さえつける指導がまん延していた」
ルールがあるから守らせようと躍起になる。子どもが楽しいはずがない。そんな思いを教師一人一人にぶつけた。靴下の色はなぜ白でないとだめなのか。セーターの色はどうか。一つ一つの疑問に生徒指導の教師も答えられなかった。理由がないなら規定の意味はない。「本当に必要かどうかを考えた結果、校則がなくなった。教師も私の対応に面倒くさくなったのでしょうね」と言う。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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