田内康介
全国の民事裁判の判決を一括管理してデータベース化する仕組みづくりに向け、法務省は14日、有識者らによる検討会を設置した。民事裁判が全面IT化される2025年度の導入を目指しており、紛争や解決方法の傾向分析などの形で民間に活用してもらう。
全国の地裁、高裁などで出される判決は年に約20万件あり、閲覧するには原則として裁判所に出向く必要がある。全判決のうち数%は、民間のデータベース会社や判例雑誌の会社に、各裁判所から便宜供与という形で提供されている。最高裁のホームページなどでも一部は公開されている。
ただ、これらはごく一部にすぎず、公共財である判決情報が十分に活用されていない。データベース社や雑誌社も、それぞれの基準で人手と費用をかけて匿名処理をしており、非効率な運用にもなっていた。
そこで、民事裁判がIT化される25年度に合わせ、全国の裁判所の判決を特定の機関に集約し、データベース化する。機関は公益性の高い「情報管理機関」と位置づけ、AIを活用して匿名処理を実施。データベース社、雑誌社のほか、研究者らに有償で情報提供することが想定されている。
法務省の検討会には、憲法や民法の専門家らが参加し、一つの機関に判決を一元化する法的根拠や必要な法整備、匿名化すべき情報の範囲などを議論する。(田内康介)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル