愛知県を中心に障害者向けグループホーム(GH)などを全国展開する大手運営会社「恵(めぐみ)」(本社・東京都)が障害者から食材費を過大徴収していた問題で、同県内に二十数カ所あるすべてのGHで開所当初から過大徴収が続いていたことが県の監査でわかった。厚生労働省は同社が全国各地のGHでも組織的に「経済的虐待(事業者の不当利得)」を続けていた疑いがあるとして、特別監査を進めている。
同社は福祉サービス事業を幅広く手がけ、最初の障害者向けGHは名古屋市で2018年に開設した。GHがある自治体への取材で10月1日現在、27施設ある愛知県のほか、千葉県や埼玉県、福岡県など12都県で約100施設ある。福祉関係者によると、重度の知的や精神障害者を積極的に受け入れることで知られる。
GHの食材費は利用者から実費のみを徴収するよう、厚労省令で定められている。だが、過大徴収の情報提供を受けた愛知県が昨年12月から同社の監査を実施したところ、実費を上回る額を徴収していたことがわかった。
愛知県内の全施設で開所以降続いていたと確認
朝日新聞が入手した厚労省や県の監査関連資料によると、同社では法人本部が毎月、利用者から食材費として定額徴収した後、各GHに分配する仕組みを設けていた。徴収額は各GHごとに異なっていたが、配られた金額は定額徴収額の3分の1程度だった。
愛知県岡崎市のGHの事例では、利用者25人から月額計約60万円(1人あたり2万4千円)を徴収したが、GHに配られたのは計約20万円(同8千円)。差額は法人本部で管理されていることも確認され、利用者から不当に財産上の利益を得ていた疑いが判明した。
愛知県の監査では、23年3月時点で県内のすべてのグループホームで開所以降の全期間、実費を上回る過大徴収が続いていたことも確認された。
愛知県の監査結果を受けた厚労省は6月、障害者虐待防止法が定める経済的虐待が組織的に行われていた疑いがあるとして、同社のGHがある全国の自治体に調査を指示した。
これを受けて朝日新聞が該当の自治体に取材したところ、愛知県と同様の仕組みに基づく過大徴収は少なくとも、神奈川県、群馬県でも確認されていた。
厚労省は愛知県などの自治体と、同社運営の全国のGHについて過大徴収の実態、不当徴収分の総額や流用状況、食材費抑制による利用者の健康状態への影響などを調べている。過大徴収が認定されれば、障害者総合支援法に基づき、指定の取り消しや一定期間の新規受け入れ停止といった行政処分が科される可能性もある。
愛知県岡崎市のGHで昨年5月、最初の過大徴収が発覚した。報告を受けた県は同年12月に同社の別のGHを監査し、複数の施設で過大徴収が判明。今年5月に当時の本社を監査したところ、県内全域のGHで同様の事例を確認した。同社以外の県内でGHを運営する全事業者についても、調査を現在進めている。
同社は朝日新聞の取材に「行政監査を受けている途中だが、社内調査も並行して進めている。差額が生じていたのは事実だが、過大徴収に当たるかは自治体の判断。分かり次第、速やかに返金を進める」などと回答した。
おかずのコロッケは1個を半分、卵は2人で1個
障害がある人たちに提供されるおかずは、2人に対し1人分だけ。
一つの親子丼のレトルトパッ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル