大島理森衆院議長は15日、東京都千代田区の日本武道館で開催された全国戦没者追悼式で「先の大戦に思いを致し、日本国憲法の精神を体して、恒久平和の実現、国民生活の安定と向上に全力を尽くす」と述べた。大島氏の追悼の辞の全文は次の通り。 ◇ 天皇、皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、全国戦没者追悼式が挙行されるに当たり、衆議院を代表して、謹んで追悼の言葉を申し述べます。 先の大戦の終結から75年の節目を迎えました。国民や物資が残らず動員され、人々の多くが飢餓や窮乏にさらされる極めて厳しい状況下、戦い、働き、暮らし、それぞれ力を尽くした方々が、戦場や、戦禍をこうむった各地、あるいは、戦後、異郷の地において、国や家族を思いながら犠牲となられたご無念を思うとき、いかに年月が経とうとも悲しみは尽きません。 ここに、全戦没者の御霊(みたま)に対し、衷心より哀悼の誠をささげます。 また、戦後長い間、計り知れぬご労苦を重ねられたご遺族の皆さまに、深くお見舞い申し上げます。今日の平和と繁栄が、戦没者の方々の多くの犠牲によって築かれていることを決して忘れず、心を合わせて平和のために不断の努力を続けていくことは、私たちに課せられた使命です。 さて、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大は、改めて私たちに国際協力の重要性を認識させました。他方で、世界では人々の間に従前以上に深い分断が生じているという指摘もされているところです。 この時に当たり、これまで、日本国憲法前文にあるように「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する」ことの実現を一貫して追求してきたわが国が果たすべき役割は、ますます大きなものとなっていると存じます。 私たちは、内外の歴史への認識をさらに深め、叡智を尽くし、誠実に、より一層高い倫理観と勇気をもって、国際社会の安定と世界の全ての人々の幸せのために行動していかねばなりません。 終戦以来長い年月が過ぎ、戦争の体験と記憶の風化が危惧されているところです。戦争のもたらした多くの犠牲や苦難について、戦争を直接体験された方々から学び、過去を省みて、未来へ永く語り継いでいくことは、再び戦争の惨禍を繰り返さないためにも、極めて重要であります。 われわれ国会議員は、先の大戦に思いを致し、日本国憲法の精神を体して、恒久平和の実現、国民生活の安定と向上に全力を尽くしてまいる所存です。 結びに、戦没者の御霊の安らかならんことを心からお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆さまのご平安とご健勝を切に祈念いたしまして、追悼の言葉といたします。
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