城真弓 安斎耕一
「映画の街」を掲げる北九州市で、国内外の作品を上映する初めての「北九州国際映画祭」が17日まで開かれている。市はロケ誘致の先駆けだ。活動を担う北九州フィルム・コミッション(KFC)の取り組みに迫り、目指すべき次のステージを探った。
14日に上映された「逃げきれた夢」。北九州を舞台に、定時制高校の教頭が人生の転換期を迎え、半生を見つめ直して新たな一歩を踏み出すまでの日々を描いた映画だ。教頭を演じた俳優の光石研さんは舞台あいさつで「オール北九州ロケのこの映画は、フィルムコミッションや市民の方々の協力がなければできなかった」と感謝を口にした。
今年公開され、世界三大映画祭の一つ「カンヌ国際映画祭」にも出品された同作はすべて市内で撮影された。八幡中央区商店街に市庁舎の食堂。ロケ地を提案し、エキストラやボランティアを集め、撮影を下支えしたのはKFCだ。
北九州国際映画祭では、13~17日の5日間で計33作品を上映。大学生がボランティアとして参加したり、中学生対象の関連イベントが開かれたり、街をあげて映画祭を盛り上げる。「映画祭を機にまた撮影が増えて、映画の街としてさらに盛り上がったらうれしい」と、KFCが支援する100作品ほどにエキストラとして参加した女性(59)は期待する。
市が広報室に「イメージアップ班」を設け、ロケ誘致に乗り出したのは1989年から。市の悪いイメージを払拭(ふっしょく)するためだ。官営八幡製鉄所が操業開始してからは「鉄都」として栄え、劇場や映画館も多く集まって大衆文化も花開いた北九州市だったが、その後は公害や鉄冷え、治安が悪いといった負のイメージとともに語られていた。
だが映画関係者の目には、工場地帯や古い街並みなどはロケに適した多様な景色と映ったようだった。
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2000年にイメージアップ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル