再編統合の必要性などについて各地域での議論を求める公立・公的医療機関を厚生労働省が公表したことを受け、日本医師会(日医)は「各地域で混乱が生じている」と危機感を示している。横倉義武会長が2日の記者会見で、厚労省の分析結果は、地域医療構想調整会議(調整会議)における議論の活性化のための「参考資料」であることを、加藤勝信厚労相の見解を引用しながら強調した。一方で、中川俊男副会長は、都心部など特定の医療機能を民間病院が担っている地域では「公立が引くべき」との立場も改めて示した。【吉木ちひろ】
加藤厚労相は1日の閣議後の記者会見で、同省による分析結果について、「地域の検討の役に立てていただきたいということで、公立・公的病院についての一連の私どもの分析のお示しをさせていただいた」と述べた上で、今後、民間病院の状況についてもデータの提示を検討していることを説明していた。
横倉会長は、これを「必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではない」などとして、調整会議で議論を進めることを求めた。また、民間病院のデータ提示については、厚労省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の構成員である中川副会長が、今回の分析結果は民間病院との比較も含めた上で提示されていることから、特定の地域の調整会議からデータの開示が求められた場合に、「その調整会議においては限定的に提供されるということ」である旨を厚労省医政局の地域医療計画課と「確認済み」だと断言した。
また、中川副会長は、分析結果の趣旨について、▽調整会議を機能として活性化させることが目的であり、議論の方向性を限定させるものではない▽「再検証要請対象医療機関」とされた病院以外にも、調整会議の議論においてダウンサイジングや機能分化・連携・集約化を要請されることもあり得る▽医療機関の開設主体ごとに税制優遇措置などの温度差が大きい実情を踏まえて、調整会議では地域の方向性を決定することを徹底する-ことを確認したとも述べた。
同一の「構想区域」内で、公立・公的病院が民間医療機関と同じ病床・医療機能を持ち、「競合しているという判断がなされた場合」には、多くの税制優遇措置や一般会計からの繰入金の投入を受けている公立病院が「引くべき」と主張。ただし、分析は「機械的に出したものであるからこそ、反論も含めて各地で実情を訴えてほしい」と求めた。
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