共産党の小池晃書記局長は9日の記者会見で、22日に行われる「即位礼正殿の儀」など天皇陛下のご即位に関する儀式に欠席すると表明した。「現行憲法の国民主権、政教分離の原則とは両立しない」と述べた。
共産党はかねて即位の儀式について「現行憲法のもとで廃止・失効した旧皇室典範と登(とう)極(きょく)令(れい)を踏襲したもので、国民主権と政教分離という憲法の原則に反する」と主張。平成30年3月には「憲法の精神に即して見直すべきだ」と政府に求めていたが、応じられなかったと判断した。
とはいえ、かつて「天皇制の打倒」を声高に訴えていた党の皇室観は、「2004年綱領」に「天皇の制度は憲法上の制度」などと明記してから軟化している。5月1日の天皇陛下のご即位に祝意を示したことや、志位和夫委員長が6月4日付の機関紙「しんぶん赤旗」のインタビューで女性・女系天皇に賛成すると明言したのもその一環だ。
共産党は次の衆院選に向けて立憲民主党などに野党連合政権の樹立を呼びかけており、皇室を容認する他党と少しでも足並みをそろえようとの狙いも透けてみえる。野党連合政権に閣僚を送り出す場合、皇居で行われる認証式に臨むのか否かが注目されるが、共産党幹部は「認証式は(憲法に基づく)国事行為だから出席する」と明言した。
しかし、従来の「共産党らしさ」が失われることを心配する支持者も少なくないとみられ、ソフト路線化は組織の土台を揺るがす危険もはらんでいる。(内藤慎二)
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