兵庫県内の暴力団勢力が2020年末時点で770人となり、12年連続で過去最少となった。県警が発表した。県暴力団排除条例の施行から今年4月で10年。暴排活動の広がりで資金獲得活動(シノギ)が難しくなり、組織離れが進んでいる実態がうかがえる。ただ、特定抗争指定暴力団の山口組と神戸山口組はいまだ対立抗争状態にあり、県警は警戒を続けている。
組織犯罪対策課によると、組員と準構成員などを合わせた暴力団勢力は05年の3260人をピークに減少。特に、県暴排条例が施行された11年からの10年間で3分の1以下になった。
暴排条例は、暴力団と関係を持たないことを県民の責務として明示。民間人や事業者に対し、暴力団へのみかじめ料や用心棒代の支払いといった利益供与などを禁止した。条例改正で、19年から神戸・三宮や姫路・魚町など「暴力団排除特別強化地域」でみかじめ料を渡した事業者にも罰則を与えられるようになった。
組員への規制がメインだった暴力団対策法に比べ、県警幹部は「地域社会や経済活動などから暴力団を締め出すことでシノギを断つ効果があった」と指摘。暴力団のうまみがなくなってきたことで若者の加入も減ってきた、と県警はみる。
コロナ禍も、暴力団の弱体化につながっているとの見方もある。売り上げが低迷する飲食店からのみかじめ料が集まりにくくなり、資金源を細らせているとみられる。
ただ、暴対法や暴排条例の規制対象になりにくい準暴力団や半グレ集団の動きが活発化している。県警幹部は「半グレが特殊詐欺で集めた資金を暴力団が吸い上げる構図がある。そこへの取り締まりも強化しなければ」と警戒する。
「警戒区域」5市 封じ込め強化
県内の暴力団勢力を組織別でみると、2015年に山口組から分裂した神戸山口組が470人(前年比60人減)で最も多い。山口組が150人(同10人減)で続き、17年に「神戸」から再分裂した絆会が90人(同20人減)となっている。
各地で対立抗争を繰り返してきた山口組と神戸山口組の双方は昨年1月、特定抗争指定暴力団に指定され、県内では神戸、尼崎など現在5市が「警戒区域」となった。この区域では組員がおおむね5人以上集まるだけで即逮捕できるなど、抗争封じ込めのため、双方の活動は大幅に規制されている。
しかし昨年11月には尼崎市内で、対立抗争とみられる銃撃・発砲事件が相次いだ。今年3月には西宮市と神戸市の建物に弾痕とみられる複数のへこみが見つかり、県警は発砲事件とみて捜査している。
抗争終結の動きがみられないとして、県公安委員会は今月5日付で、山口組と神戸山口組に対する特定抗争指定暴力団の指定を3カ月延長すると官報に告示した。指定の期限は7月6日まで。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル