安倍晋三首相(自民党総裁)が9月の内閣改造・党役員人事を明言したことを受け、政府・自民党では具体的な動きが活発化しつつある。首相は政権の骨格は変えない方針だが、「新たな人材に突破力を発揮してもらう」と若手を含め幅広く起用する可能性に言及したことに、党内からは「大幅改造」の声も上がる。令和3年9月末の党総裁任期満了を見据え、総仕上げに向けた布陣となりそうだ。
自民党内には衆院当選5回以上、参院当選3回以上で閣僚経験のない「入閣待機組」が約70人いる。待機組を押しのけて注目されるのが、衆院当選4回の小泉進次郎厚生労働部会長の処遇だ。
首相はフランス・ビアリッツで行った記者会見で「わが党には老壮青、たくさんの人材がいる。そういう方々にも光を当てながら考えたい」と述べ、若手を含めた起用をにじませた。
首相は過去の内閣改造で、昨年10月に衆院当選3回の山下貴司氏を法相、平成29年8月には当時同3回の斎藤健氏を農林水産相にそれぞれ起用した。小泉氏の登用は順当とも言える。二階俊博幹事長は27日の記者会見で、小泉氏を「将来性を持って活躍されている」と評価。「若手が成長していくのは党が発展していく姿で、その象徴だ」とも語った。
昨年の人事は、前月に行われた党総裁選の論功行賞の色彩が強く、総裁選で首相を支持した派閥が尊重された。しかし、今回は首相が国政選挙6連勝となった7月の参院選後の内閣改造ということもあり、フリーハンドで臨めそうだ。
一連の人事では、首相が目指す憲法改正を進めるためにどういう布陣を敷くかも焦点となる。連立を組む公明党の幹部は、今回の首相の発言について「『安定と挑戦』なら、憲法はどう考えても挑戦だ。憲法に関する人事は特に注目している」と語った。
3年以上にわたり幹事長を務めてきた二階氏の処遇も焦点だ。党内には80歳という高齢を不安視する声もある。二階氏は記者会見で、続投の意欲を問われ「幹事長の人事は全く興味がない」と述べるにとどめた。同時に「党の円満な運営に心を砕いて実施してほしい」とも要望した。
党幹部は「与えられた職務を全うするというのが、幹事長の考えではないか」と推察するが、政権運営を一貫して支えてきた二階氏が幹事長を外れた場合、党内の力学が変化する可能性もある。(今仲信博)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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