再び脚光を浴びるデコトラ、東京パラ開会式にも登場 発祥の地は

 一昨年夏、国立競技場で開かれた東京パラリンピックの開会式。布袋寅泰さんや車いすのギタリストたちが登場したロックショーの中心で、1台のトラックが光彩を放っていた。

 黄色や青、緑に輝く電飾、屋根には翼のような飾りがあり、荷台には大きな浮世絵が描かれている。いわゆるデコレーショントラックだ。

 デコトラといえば、1975年初公開の映画シリーズ「トラック野郎」。故・菅原文太さん演じるトラック運転手・星桃次郎が各地を旅する人情物語で、愛車「一番星号」の格好よさに全国のトラック運転手がしびれ、ブームが起きた。

 その「発祥の地」を名乗るのが、全国有数の水揚げ量を誇る八戸港があり、豊富な海産物を全国に送り出している青森県八戸市だ。

飾りに込めた「鼓舞」と「見え」 

 隣の階上町で運送会社を営む夏坂照夫さん(70)は、いち早くトラックの「デコ」を始めたことで知られ、「トラック野郎」の撮影にも関わった。

 年齢の離れた義理の兄がトラックを持っていて、正月になると車体に国旗や飾りをつけているのを見て、憧れた。県内では70年ごろにはすでに多くのデコトラが走っており、全国の配送先で話題になり、広がっていったという。

 自身も20歳ごろに初めて中古トラックを手に入れると、車体に「八戸港」の文字を入れ、運転席の屋根の上に「第七港町急送」と書いたあんどんをつけた。その後も、家具屋を回ったり廃車の部品を探したりして、自分好みのパーツを見つけ、飾りを増やしていった。「国産高級車が1台買えるぐらいの費用はかけた」という。

 「『客に必ず荷物を届ける』。飾りは、自分を鼓舞するためであり、周りへの見えでもある」と話す。

 八戸市ではデコトラとの縁をアピールしようと、2017年に全国から160台のデコトラを集め、装飾の完成度を競う「デコトラ祭り」を開催。21年には市美術館が写真展を開いた。

 地元の愛好家団体も、朝市で知られる八戸港の館鼻岸壁で、定期的にデコトラを展示している。

【動画】「発祥の地」に集結したデコトラ=古庄暢撮影

 約5年前から毎週、デコトラで朝市に通っている「常勝丸船団青森支部」の高田誠支部長(55)は、「自分の飾りを朝市に来た人に見て、楽しんでもらいたい」と話す。

 「八戸デコトラ愛好会」は今年4月から週末の夜にデコトラを集めた催しを館鼻岸壁で開き、その様子をSNSで紹介している。

 代表の下田幸税(こうえつ)さん(38)は「トラックはどこか怖いイメージを持たれがち。親しみを持ってもらえたらうれしい」と言う。

 しかし最近は、派手なデコト…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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