政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長は27日の衆院厚労委員会で、感染防止対策について「個人の努力に頼るステージは過ぎた」と政府や自治体に対策強化を厳しく迫った。菅義偉首相は「Go To トラベル」で札幌、大阪両市からの出発分の利用も控えるよう呼び掛けたが、この日も過去最多の570人の感染が確認された東京都については変化なく、小池百合子都知事は「国が判断すべきこと」と主張し続けた。首都の対応をめぐり、国と都が、国民の不安にどう応えるのか注目される。 ◇ ◇ ◇ 尾身氏は「個人の努力に加え、飲食店の営業時間の短縮、感染拡大地域とそうでない地域の行き来を控えるのは必須だ」と強調。国民や国、自治体に対し「当事者意識を持って、危機感を共有することが極めて重要だ」と訴えた。 現状では対策は限界に近づきつつあり、専門家の危機感は強まる一方。分科会は今後3週間はステージ3相当地域との往来をできるだけ控え、時短営業などを早急に検討する必要があるとしている。 国はこれまで「Go To トラベル」について、北海道と大阪府の判断に基づき、札幌、大阪両市を目的地とする旅行の割引を一時停止した。さらに菅義偉首相は27日、分科会の提言を受けて、両市からの出発分の利用も控えるよう呼び掛けた。しかし、現時点で東京都のGo To トラベル対応については手つかずだ。 小池知事は27日の会見でも、Go To トラベルについて「感染拡大防止には拡大地域の出と入りを止める必要がある。全国的視点が必要だからこそ、国が判断すべきこと。最初からそういう設計ではなかったか」などと主張を繰り返し、国の対応に疑問を示した。その上で「人の動きが増えているのは事実。他県からの流入も多く、その逆もある」とし、都の一時停止などについて国が判断するよう改めて求めた。 国と都の足並みの乱れは7月にも浮上した。都の感染再拡大をめぐり菅氏(当時官房長官)が「圧倒的に東京問題」と発言し、小池氏が「国の問題」と反論した。加藤勝信官房長官は27日の会見で、小池氏の主張について「どちらがどうという議論自体が建設的ではない。大事なのは自治体と政府が一体で最も効果的な対応に取り組むこと。各知事の判断も十分に踏まえる必要がある」と指摘した。 西村康稔経済再生担当相がGo To トラベルの対応について「何日もかける話ではない」と発言したのは22日。首都をどうするのか? 国民の不安は高まるばかりだ。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース