再編検討病院の実名公表 国の線引きに住民の反発恐れも(産経新聞)

 厚生労働省は26日、診療実績が乏しく、統廃合を含めた再編の検討が必要とみなした全国424の公立・公的病院の名称公表に初めて踏み切った。背景には、高齢化に見合った地域医療を維持するため、病床(ベッド)数の削減や病院機能の転換が避けられないとの切迫感がある。ただ、病院の存廃は地域住民の死活問題で、国による線引きが強い反発を招く恐れもある。

 「検討した上で『現状維持』との結論が出るかもしれないが、相応の説明が必要になる」。再編検討の要請にあたり、厚労省の担当者はこう語気を強めた。

 厚労省は団塊世代全員が75歳以上となる令和7年までに全国の病院の病床数を119・1万床とする目標を掲げるが、平成30年時点で5・5万床が過剰となっている。一方で、高齢者のニーズが高いリハビリ向けは20・4万床不足しており、病院機能の見直しも喫緊の課題とされる。

 こうした中、再編検討の対象病院には、自治体が運営する中小規模の病院が目立つ。厚労省は「再編の方向性を機械的に決めるものではない」と統廃合を前提とした要請を否定するが、自治体側は「住民の不安が生まれる」と戸惑う。

 対象病院の割合が47・5%を占めた宮城県では、東日本大震災で大きな被害を受けた沿岸部の病院も入った。同県の担当者は「ようやく立ち直ろうとしているところで名指しされた形だ。地元のショックは大きいだろう」と訴える。

 全国で最も高い53・7%が対象病院だった新潟県では、再編を促されたのは中山間地の病院が多い。「人口減が進む中で、各地の医療をどう成り立たせるかが課題だ」(同県担当者)。

 厚労省は今回対象から外れた民間病院の診療実績も公表する意向で、「各地の議論が活性化し、再編の実効性があがるように支援していきたい」としている。

【関連記事】


Source : 国内 – Yahoo!ニュース

Japonologie:
Leave a Comment